猫とナンプラー
- Keiji Takemura

- 4月3日
- 読了時間: 3分
私の店の裏庭に野良猫が住み着いた。
隣のマンションにたむろしていた5匹の家族と思われるうちの、いつも仲良くコンビでいる2匹だ。
胸元の毛が黒い「ムナゲ」としっぽがくるりと巻いた「トグロ」である。
最近ムナゲのお腹が異常に張っているのが気になっていた。
上から見るとわき腹がひし形かというくらい出っ張っている。
お腹に水でもたまっているのだろうか?
腎臓や心臓が悪いと腹水が溜まると言うしな・・・。
と心配していたのだが、なんと昨日の朝にムナゲが子猫を産んでいた。
7匹も!
そりゃ腹も張るはずだ。
箱の中で子猫が折り重なって寝ているが、その横には胎盤が生々しく転がっている。
こんなものが体から剥がれ落ちるのだから、出産は命懸けだ。
生きているのか死んでいるのか、子猫たちはピクリとも動かない。
野良猫なので特に手をかけたりせず自然に任せているのだが、どうしても気になって、仕事の合間にちょくちょく様子を確認に行ってしまう。
いつも隣にいたトグロは姿が見えない。
子猫が場所を取るせいでムナゲの寝床が狭くなり、トグロが寝床を譲っているようなのだ。
そして出産を終えたばかりだと言うのに、ムナゲはなわばりを歩き回って食べ物を探している。
野生の生き物はなんと強いことかと驚く。
羊水で濡れていた子猫たちは、ムナゲが舐めて体を拭いてあげたのだろうか、毛がふわふわと乾いている。
一匹一匹は大人の指二本分くらいの大きさしかない。
昨日はほとんど動いてなかったのに、今日はもう小さな鳴き声が聞こえる。
しかし何とも言えないニオイがして、ちょっと生臭いな・・・。
胎盤の臭いだろう。
話は変わるが、最近生春巻きに凝っている。
マサラマスターというインドカレー屋の付け合わせで出てくるのだが、これがおいしくて自分でも作りたくなったのだ。
サニーレタス、ニンジンの千切りを少し加え、むきエビを半分にスライスしてライスペーパーで巻く。
大葉を加えると香りのアクセントが効いてさらに美味しい。
スイートチリソースにつけて食べると、いくらでも食べられる。
全ての材料は業務スーパーで揃うし、リーズナブルだ。
そんなわけで少し遠い業務スーパーに足しげく通っているのだが、四国中央市は工業都市で東南アジアの研修生がたくさんいる。
この研修生たちの故郷であるベトナムやインドネシアの食材を扱っているのが業務スーパーである。
トムヤムクンやフォー、ナシゴレンやココナツミルクなどあまり近所の飲食店でも見かけない食材が並んでいる。
その中にナンプラーがあった。
聞いたことはあるが、どんな味なのか知らない。
魚醤という言い方をするが、イワシの塩漬けから染み出した液体である。
不味そう。
しかし1本198円とお安く、東南アジアの調味料であれば生春巻きにも合うかもしれない、と思い買ってみた。
使い方がわからなかったのでとりあえずラーメンに少し入れて食べてみたところ、爽やかな酸味がありさっぱりした味わいがする。
これは美味しいかも。
暑くなってくるし、これからいろいろ試してみたくなる味がした。
ある時ペペロンチーノを作っている時に、ガーリックオイルを乳化させるついでにナンプラーを入れてみた。
ほのかに野趣あふれる臭いがする。
匂いというより、臭いと表現すべき香りだ。
それがなんなのか、今日分かった。
子猫のそばにあった胎盤のニオイだった。


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